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8月16日 ノルウエー  Andalsnes / Andalsnes YHA (275NOK)

ノルウエー・スウェーデン国境(国道70号)
 はるばるノルウエーまでフィヨルドを見に来た。せっかく朝はいい天気だったのに、ノルウエー国境を越えたころから天気が崩れ始め、結局今日の走行約460キロの大半を雨とともに走ることになってしまった。
 こっちの雨は、日本で言う「きつねの嫁入り」がけっこう多い。緯度が高いため、太陽は横から照り、そして真上には雨雲があるという具合だ。
今日の夕方は、この太陽が俺の真ん前に立ちはだかる状態になった(つまり西に向かって走ってるから)。タダでさえ北ヨーロッパの西日は強烈で難儀するのに、さらに雨で濡れた路面が真っ白に輝きほとんど前が見えなくなった。

スウェーデンが森と湖なら、ノルウエーは山と川が美しい、平地の多いスウェーデンと違って、ノルウエーは山がち。それもかなり急峻な山が多い。その山の上から無数の滝がすごい勢いで流れ落ちていく。優に100mを越える滝が垂直に近い角度で下まで落ちている。日本も急な山は多いが、こんな高さの滝はない。雨は降ってるんだが止まって写真を撮らないわけにはいかないよ。

目的地のAndalsnesに着いたのは8時ごろ。道沿いにユースが見つかったのでそのままチェックインした。服や荷物がぐしょぐしょ乾かす必要があるため、ユースで初めて個室に入った。275クローネもしたから、他のホテルやキャビン形式の宿に泊まった方が良かったかな?




8月17日 ノルウエー  Andalsnes / Andalsnes YHA (175NOK)

Trollstigenの滝
朝、バイクの掃除。その後点検。最近急に燃費が悪くなった(23km/L)のでプラグのせいかと思いを外してみた。見るとまだ使えそうだが電極が擦り減ってはいたので交換してみた。あとエアフィルターの掃除もしてみた。それがあたったのかどうか、今日走行後給油したら燃費が回復していた(29km/L)。
ともかく最初は簡単に済まそうと思ってたんだけど、やりはじめるとあれもこれも気になってきて、結局昼過ぎまで整備に時間を取られてしまった。

3時ごろからバイクで周辺を観光。このあたりの見所はなんといってもTrollstigenの腸のように曲がりくねった道路と滝、そして山だ。Andalsnesから63号線を南下し、急なヘアピンを何回もターンして上へ向かう。途中いくつもすごい滝が谷の川へ落下している。笑ってしまうぐらいすごい光景だ。これも太古の氷河の侵食によって造られたのだろう。山にはところどころ雪が残っている。標高は高くても1000mちょっとだと思うんだが、さすがは北欧だ。

Trollstigenの峠を越えたあたりからまた雨が降ってきた。ついさっきまで真っ青だった空がみるみる暗くなり、同時に急に冷え込む。どうせ今日もこんな事になるだろうと思って用意してきたレインコートを着込んでユースへ戻り始める。
帰路は同じ道ではなく、フィヨルド沿いの道を通って帰ろうと地図とGPSでルートを検討。宿までは直線距離にしておよそ40キロ。ただし実際走ってみるとフィヨルド地形に沿ったうねうね道なので、結局倍以上の距離になった。雨はどしゃぶりになってきて早く戻りたいのに、地形のおかげで正反対の方向に何キロも走らないといけないのは辛い。こんな形でフィヨルドのすごさを体験することになるとは思わなかったね。

帰りに肝を冷やす出来事があった。雨の中家路を急いでいると、突然牛が道を横切り、あやうく衝突するところだったのだ。
 空は黒く、雨で視界も悪い。そして牛も濃い茶色だったので、つい発見するのが遅くなった。右側の木の陰からのそのそ出てきた時には、俺はもうほとんどよけられなかった。牛の首を撥ねる!かろうじてバイクを左へ倒し、体を「く」の字にして牛の首を避けようとした。そして牛は俺が突っ込む直前に、百戦錬磨のボクサーのように首だけを動かして俺をやり過ごした。そして間一髪、接触を免れた。ニアミスの後、ミラーで牛を見ると、牛もぼーっとこっちを見ていた。
 今まで約5ヶ月走ってきて、一番ひやっとした場面だった。俺がもう10センチ右側を走ってたら、俺は転倒、約80キロで走ってたのでたぶん病院行きになってただろう、そして牛は意外に早く肉屋に並んでいたに違いない。
 雨の日のツーリング、気をつけるべし。




8月18日 ノルウエー  Andalsnes / Andalsnes YHA (175NOK)

ノルウエー名物フィヨルド。これはたいした規模ではない
移動予定だったが雨のため延泊。もう3日連続で雨の行軍となってるので、いくら急いでると言ってもさすがに走る気がしない。ゆっくり朝メシを食って、あとはWEBの整理とか読書とかをしてくつろぐ。
 ここのユースの朝食はバイキング形式でなかなか素晴らしい。普通ユースの朝食はろくでもないものばっかりだが、ここのはちょっとしたホテルのバイキング並だ。数種類のパンにハム、チーズ、コールスロー、オートミール、野菜サラダ、シリアル、そして焼き魚なんかも並んでいる。期待していなかっただけに得した気分になるね。さんざん食った後、もっと得するために、昼の分のサンドイッチまで作って持ち帰る。これは普通禁止事項で(当たり前)、たいていどのユースにも「朝メシ、持ち出すべからず」と書いてあるが、俺の見ている限りかなりのバックパッカ-がこっそりバッグやポケットの中に隠して持ち出しているぞ。旅人はあれこれ苦労してやりくりしてんだよ。
 
それはそうと、北欧やオランダの人が英語を上手に使いこなすのは良く知られているが、それもそのはず、これらの国の言葉は実によく似ている。今日もガソリンスタンドの前を通りかかったら、サインポールに「APEN TILL 12」と書いてある看板がはめられていた。これは英語ではもちろん「OPEN TILL 12」、12時までやってるぜと言う事なんだが、こんな風に似てるので、町の看板や標識なんかはけっこう類推できたりする。
 こんなこともあった。オランダの公園で休憩していた女性としばらく話していた時のことだ。話がちょっと途切れた時、女性が軽く空気を持ち上げるような仕草をして半ば独り言を言った。「(今日は)暖かいわね」。俺は「そうだね。昼寝をしたいぐらいだ」と返したら、女性は笑いながら「あなた今、オランダ語を解したわよ」と言った。
 俺は、彼女が「ワーム」と言ったので、彼女の仕草や表情からてっきり英語で"ウォーム"(warm)と言ったのだと思ったんだが、彼女はまさに自分の言葉で独り言を言ったのだった。

Falunのダニエル(スウェーデン人)が言うには、
「ノルウエー人とはお互い自分の言葉をしゃべって普通に会話ができる。デンマーク語はかなり集中すればだいたいわかる。オランダ語はほとんどわからないが、共通の単語がけっこうあるので、そこから推測することは可能。」らしい。
これだけ近いと、ほとんど方言と言えまいか。スウェーデン語を京都弁に置き換えると、ノルウエー語が和歌山弁とか近畿の諸方言、デンマーク語が東京弁とか博多弁、オランダ語や英語が津軽弁とか沖縄語ぐらいの距離にあたるんじゃないか?
(別に調査したわけではないので、ええ加減に聞き流しとくれやす)





8月19日 ノルウエー Trondheim / Trondheim YHA (170NOK)

後ろに流れているのが滝。細くて急なのが特徴
本日もさえない天気だが少なくとも雨は降ってないので出発だ。Andalsnesから、フィヨルド沿いの道をうにゃうにゃと通り、途中からやや内陸の幹線を北上して、北ノルウエーの玄関口、ノルウエー第三の都市Trondheimまで走る。内陸部でまたまた雨の洗礼を受け、せっかく乾かした靴とか手袋がまた濡れた。こうして靴はだんだん臭くなっていくんだな。

本来、ここから更にスカンジナビア西岸をとことん北上する予定だったが、予想通り寒く、天気も不安定なので、簡単に妥協して東へ向かう。東へ走ってスウェーデン領へ戻り、スカンジナビア東海岸まで突き抜けて、その後ボスニア湾沿いに北上することにした。
 憧れの最果ての地、Nordkappも凍え死にそうなので諦め、目標を下方修正だ。
新しい目標は、「目指せ、北極圏入り!」
ちょっとでも足を踏み入れたらOKと言う事にしてくれ。




8月20日 スウェーデン Morsil / Bixogardens Viltfarm B&B (200SEK)

荷物のかわりに後に乗っけて走りたい
午前中はTrondheimの町を見学。土産物屋をいろいろ見たかったのだが、日曜日でどこも閉まっている。土産物屋ってふつう休日に儲けるんじゃないのか?ツーリストオフィスが日曜休みの時もあるし。ヨーロッパってラテン諸国に限らずそういうとこあるよな。
 ガイドブックを見るのも邪魔くさくて、市内をバイクでぷらぷら流す。するとかなりでかい聖堂に出くわし、その前で民族衣装に着飾った人々が談笑している。子供も大勢いて、みな正装してる。乳母車の赤ちゃんまで正装だ(さすがにネクタイはしてない)。たぶん洗礼式か何かだろう。でなければノルウエーの七五三かもしれないな。

それにしても衣装がすばらしい。俺は人々の中で一番きれいそうなおねえちゃんを選んで写真を撮らせてもらった。そのあといろいろと話がしたかったのは山々なんだけど、連れの男がうさん臭そうな顔で見てたので遠慮しといた。

日中なのに10度を切る寒さの中(そしてまた雨が降る!)、国境を越えてスウェーデンまで戻ってきた。今日の宿はMorsilという小さな町のはずれの、これまた農家のB&B。
客は俺一人のようで、朗らかそうなおばちゃんが歓待してくれた。
部屋は母屋の向かいにある、別棟の2階。大きなダブルベッドが気持ちよさそうだ。俺一人しかいないから、この家を一人で借りていることになる。シャワー、トイレはもちろん、キッチンや居間などすべて使い放題。
 なんでもこの建物は1700年代に建てられたそうで、5年前に大補修はしたものの、基本的な構造は当時そのままである。木造のログハウス風のお洒落な家で、壁には昔の猟銃や巨大なムースの角などが飾ってある。
 これで朝飯つきで200クローネ。ユースのたこ部屋が170クローネ。みんななら、どっちに泊まりたい?




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