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8月1日 デンマーク Krusa / キャンプ場 (50クローネ)

 ドイツを走ってて感心するのが道路の補修跡。穴の開いたところや亀裂の入ったところをまるでパッチワークのようにキレイに直してある。その上を踏み越してもほとんどガタガタしない。こんなところにもドイツ人のキチンとした気質が表れているよ。

 信号を守るとか、バイクがすり抜けをしないとかも徹底している。黄色は日本ではほとんどの車が止まらないが、ドイツは逆にほとんどの車が止まる。少々強いブレーキをかけてでも止まる。だから日本の感覚で車の後ろについて走っているとけっこう危ない。

 こんなにきちんとした国だから、実際に住むとけっこう堅苦しかったりするかも。実際、ハンブルク駅周辺には、堅苦しい社会に対応できずに(かどうかは知らないけど)飲んだくれて浮浪者になってるやつがけっこういる。彼らはちゃんとしたドイツ社会の反動のように、強烈にだらしない。スペインとかに引っ越してもっと気楽に暮らしたら?とアドバイスしてあげたくなるね。

夕方、北欧の一角、デンマークに入った。国境付近のキャンプ場で一泊。

8月2日 デンマーク  Gl.Rye / キャンプ場 (33クローネ)

 北欧に入ったとは云え、夏真っ盛りなので寒くない。スコットランドの方がよっぽど寒かった。でも油断は禁物だ。何と言っても緯度は既に北緯56度を超えている。
昨日の晩から今日の午前中にかけて断続的に強い雨が降った。テントに大粒の雨がばたばたと叩きつけられ、さしもの俺もぐっすりとは眠れなかった。昼前にようやく天気が安定し、陽光がさすようになってきたので店じまいをして出発。

デンマークもオランダと同じく低い土地が多く、地図でみても最高峰が100m台。冗談のような最高峰だ。
ドイツとの国境付近から、国道170号線という幹線を北に向かう。景色は多くが小麦畑。一部で刈入れが終わっている畑もちらほら見られ、既に秋っぽい風景が漂っている。
道路は非常にきれい。そしてところどころに、特に町を通過する直前に、電光掲示板が設置されていて、その前を通過する時に68とか71とかの数字が表示される。最初は何のことかと不思議だったが、ほどなくそれが自分の走行速度だという事がわかった。スピードガンである。これが何キロ以上になったら自動的に写真が撮られ後から切符が来るのだろうか?そうだとしたら、違反者も納得せざるを得ないだろう。デンマークらしくオープンでなかなかいいんじゃない?

デンマーク領に入ってから、時折はっとするような美しい湖沼を通り過ぎる。止まるのが面倒だったのでそのまま通過したが、スコットランドやアイルランドに多く見られる、高原に水をたたえる湖と違って、周りを青々とした木々に囲まれている。やっぱり湖と森はよく似合っていると思う。
そんなデンマークの典型的な湖と隣接している、小さなキャンプ場を見つけた。「静かな湖畔の森の陰」にテントを張った。


8月3日 デンマーク Arhus / Jane & Jesper宅 

デンマークの昔の家
午前中はキャンプ場の周りをバイクで探検。5、6キロ離れた所に大きな湖があり、その周囲が散策路になっていたので、バイクを止めて歩いてみた。ブナによく似た広葉樹が生い茂る美しい森の道を歩いていると、それまでポツポツだった雨が突然豪雨に変わった。幸いかなり密度の濃い森だったので、なかでも一番枝葉が重なっている下に移動し、小降りになるまで雨やどり。
「ざああ」と森を打つ雨の音が、頭上のすべての方角から聞こえる。すごく深みのある音。人工の音響装置では絶対作り出せない、究極のサラウンドだ。この雨の音にまぎれて、森の妖精が木々の間からふと顔をのぞかせそう、でもある。

雨足がなかなか弱まらず、1時間近くも雨やどりを楽しむ破目になった。すこし小降りになったのを見計らってダッシュでバイクの場所に戻りキャンプ場へ帰った。
 なんで急いでるのかというと、夕方に待ち合わせがあるからだ。ジェーンとジェスパーという、デンマーク人のカップルと一年振りに再会することになっている。彼らとは一年前のオーストラリア旅行で知り合い仲良くなった。俺の今回の旅行をこのHPでフォローしてくれていて、デンマークへ来るなら寄っとくれ、とメールをくれていたのだ。

約束の4時半ちょうどにArhus駅で再会。ジェスパーはネクタイ姿でいかにも仕事を終えた後のビジネスマン、対する俺は雨と泥でぐちゃぐちゃのバイク服に無精ひげ。一年前にオーストラリアで等しくバックパッカーしてた事を考えると、いかにも俺が進歩してないように思え、ちょっと恥ずかしかった。
 ともあれ彼らと再会し、本日は彼らのアパートに世話になることに。



8月4日 デンマーク Arhus / Jane & Jesper宅

スーパーに並べられたキャンディ
デンマーク人はキャンディが大好きのようだ。昨日JaneとJesperのカップルと一緒にスーパーに行った時、キャンディーコーナーには凄まじい種類と数のキャンディが並べてあるのを見たし、彼らも、一度に何袋も買いだめしてた。そしてその中の二つを俺に勧めてくれたが、そのどれもがすごい味だった。ひとつはコショウ味で、口に入れた瞬間はそれほどでもないのだが、舐めて外側が溶けるにしたがって中のコショウがしみだしてくる。もう一つはわけの分からない薬のような味、そして甘くなく塩辛い。はっきりいうとどちらもとんでもなくまずい。
この強烈にまずいキャンディをジェスパーはうまいうまいとボリボリ噛んで食ってる。ほとんど信じがたい。この時ほど国が変われば食に対する嗜好も変わるということを実感したことはなかったな。

Jane and Jesper
しかし昨日と今日、彼らが家でもてなしてくれた夕食は、そんなことはなかった。昨日はなんとかという豚ミンチのハンバーグのような料理、それと蒸ジャガイモ、今日はライ麦パンの上にいろんな種類の具を好きなように載せて食べる、いわば日本手巻き寿司のパンでやるようなものだった。どちらもデンマークのトラディショナルな料理らしい。そして、どちらもなかなかいけた。

今日は朝から、100キロほど北にあるRold Skovというデンマーク有数の大きな森林地帯へ出かけた。デンマークも森林はそう多くないが、標識などを見ると、残っている森は大切に保全護されているのがよく分かる。今日の森では、昨日と違って人気もほとんどなく、森の霊気を独り占めすることができた。深い森を歩いていると、なんか心身が癒される感じがしませんか?




8月5日 デンマーク コペンハーゲン / Inger Pokel (225Kr)

早起きしてパッキング。本場デニッシュパンの朝食のあと(パンというよりケーキに近かった。かなり甘い)、ジェスパーとジェーンの車に先導してもらいフェリーポートへ向かう。別れを惜しんだあと、10時のフェリーでArhus港からZealandのOddenseへ。所用約1時間、片道206Kr。
Zealandは首都コペンハーゲンのある一番東の島。ここからつい最近できた架橋を渡るともうそこはスウェーデンである。この首都には二泊の予定だ。
観光案内所でいいホテルがないか相談すると、「プライベートな家の部屋に泊まれる」という。そんなB&Bみたいな宿があるとは知らなかったので、試しに泊まってみる事にした。予約を窓口で頼むと50krも取られた。自分でもやろうと思えばできることを敢えて頼んで金を取られると、なんか損したような気がしてあんまりいい気分ではないが、まあしょうがない。

宿へ向かう途中、なんか通行止めが多いなと思って
たら、ツール・ド・デンマークの開催中であった
家は郊外からやや離れた落ち着いた住宅街の中にあった。家そのものは煉瓦造りで相当古そうだが、中に入ってみるとアイボリーの明るい壁と、それにあわせた色調の家具やベッドでなかなか居心地がよさそうだ。ただし宿そのものの大きさは、イギリスやアイルランドのB&Bよりはだいぶ小さめで、何よりこの家は一階と二階で持ち主が違うようで、俺の宿は二階だが、家は日本の2DKぐらいの広さだ。
女主人は気さくそうなおばさんで、あとダンナと、一緒に生活してるらしい東洋人の女性がいる。

話は変わるけど、デンマークの家の売り物件を新聞広告で見ると、建築年が1800年代というのがけっこうある。築100年以上ということだ。たぶんイギリスとか他のヨーロッパでもこんなのは当たり前なんだろう。地震や台風など自然災害も少なそうだし、特に石造りの家なんか壊す方が手間がかかりそうな気もする。
それでも全体的に見ると、デンマークの家々はフランスやイギリスのそれよりもだいぶ装飾性が薄く、機能重視に見える。


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