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6月26日 アイルランド Galway / Great Western House (£10)

途中、河原で休憩した。地元のあんちゃん達が
寄ってきて、ビールを飲ませてくれた
きのうの夜、レポートを書き上げてから街に繰り出した。キャンプ場からは3キロほどあるのでバイクに乗っていった。パブにはおもろいおっさんとかにいちゃんがいて楽しかったんだけど、帰り際にまたまた壊してしまった。
さてキャンプ場に戻ろうとバイクを発進させた瞬間にゴキッと鈍い音がしてバイクが止まる。俺は原因を瞬時に悟った。U字ロックを後輪に掛けたまま発進したんだ。恐る恐る後ろを見ると、チェーンカバーが真っ二つに割れている。ロックとチェーンの間に挟まれたら、プラスチックのカバーでは耐えられる訳がない。
 それにしてもスポークが折れてなくて、正直なところむしろホッとした。チェーンカバーはなければないで、走れないことはないからね。

だから今朝は、割れたチェーンカバーの修理作業。といってもいつものように布テープでひっつけるだけなんだけどね。これは本当に便利だね。布テープは今までにライディングパンツ、地図ケース、振分けバッグなど数々の傷ついたアイテムを救っているが、今回も二つに割れたチェーンカバーは見事に蘇生した。布テープはツーリングの必需品ですなあ。
 しかしここ数日、「アイテム破壊・紛失症候群」が再び頭をもたげてきた。先日の振分けバッグの裂傷、昨日のチェーンカバー、そして今日朝、North faceのパンツがなくなっているのに気が付いた。これは速乾性で履き心地もよく、かなり気に入っていた一品でなんだわ。
なんか近々大きな失敗をやらかしそうで怖いんだけど。

ツーリングは、ほぼ真北へ200km強、ゴールウェイというアイルランド西岸では一番でかい街に落ち着いた。
ここからアラン諸島を訪れ、その間にタイヤを注文しといて戻ったら交換という計画なのだ。



6月27日 アイルランド Galway / Rusheen Bay House (£25)

Cliffs of Moherの絶景
朝はバイク屋をさがしあててタイヤを注文し、そのあと街をぶらぶら歩き回る。
あちこち街角で、ストリートミュージシャンが音楽を奏でている。大体はソロか二人組。使われる楽器の組み合わせもさまざまで、ちょっと歩いては聴き、またちょっと歩いては聴き。独特の3拍子が心地よく耳に響く。旅行者にとって、街角の音楽は旅情をより掻きたてる大切な要素だと思う。

せっかくアイルランドに来たんだから、もっとB&Bにも泊まってみよう、と街の中心からちょっと離れた海に面した一軒家を飛び込みで訪ねた。この前アイルランドはB&Bが多いと書いたけど、この通りの並びはほとんどがB&Bの看板を上げている。そしてここに限らず、アイルランド国中の主要な通りでは、B&Bをやってる家の方が、やってない家よりも多いぐらいだ。チェックイン後、おばさんに訊ねてみたら、この家は5年前に買ったんだけど、もともとB&Bを経営する目的でつくられてあったそうだ。なるほどそう思って家や部屋を見てみると、確かに客を受け入れるような設備になってる。
それにしてもこんだけB&Bが立ち並んでいてちゃんと儲かるのか?と思いきや、「ハイシーズンはほとんど満室なのよ」それだけ沢山のツーリストが訪れてんだな、この国には。





6月28日 アイルランド Galway / Rusheen Bay House (£25)

アラン諸島への日帰り旅行。諸島といっても日帰りなので、一番大きいイニシモア島で数時間を過ごすだけだ。ゴールウェイの西約35キロの港から、小さめのフェリーで約1時間揺られる。この島は西アイルランド観光のハイライトの一つであり、観光客はけっこう多い。先日訪れたクレア島とは大違い。
島へ着いたらついたで、「TOURBUS」と書かれたミニバスが何台も観光客を待ち構えている。歩いても良かったんだが、ガイド付きの方がいろいろと良くわかるだろうと思い、声を掛けてきた一台(14人乗り)に乗り込む。このような、ガイド自ら客に声を掛けてくる状況は、アジアでは普通だが今旅行では初めてだ。

約3時間で£5のツアーだが、実はツアーというのは名ばかりで、有名なポイントを二、三周るだけ。説明もあまりなくちょっと拍子抜けした。でもガイドのおっちゃんはまじめそうな人だったので許してやろう。別に仕事を怠けてるわけではなく単に寡黙なだけだろう(寡黙なガイドというのも変だけど)。他のツアーミニバスのガイドも同じように険しい顔つきをしてたので、寡黙がこの島の男の性格なのかも知れないな。

そのかわりにウイーンから来たツアー客のカートと仲良くなり、観光もそこそこに島のバーでで一緒にビールを飲み、ゴールウェイに戻ってからも待ち合わせてパブでサッカーの欧州選手権を見ながらまたビールを飲んだ。彼はソフトウエア会社のマーケティングマネージャーで、忙しい仕事の合間を縫って家族と3週間のアイルランド旅行に来ているのだ。
オーストリア人とゆっくり話すのは多分始めてなんだけど、なかなか陽気で楽しい奴だ。言葉はドイツ語で、文化的にもドイツと似てはいるが、彼いわく、「はドイツ人みたいに堅苦しゅうないでえ」。
オーストリアはイタリアとも国境を接しており、オーストリア人はドイツの勤勉さとイタリアの陽気さを両方兼ね備えているらしい。彼を見てるとそんな気もするな。
5歳年上の姉さん女房と17歳の息子とも仲良くなり、秋にオーストラリアを訪れる予定だと言ったら、「絶対うちにこい。待ってるから」と言ってくれた。いいねえ、こんな出会いは。




6月29日 アイルランド Galway / Rusheen Bay House (£25)

若者もアイリッシュを学んでいる
アイルランドでは二つの公用語がある。英語(English)とアイルランド語(ケルト語派の一つ、Irish)だ。第一言語はアイルランド語なんだが、現在ほとんどの人は英語で日常生活を送っている。Irishは地方の一部でお年寄りが日常語にしてる程度である。
何人かにアイルランド語の現状について聞いてみたが、アイルランド語をしゃべる人は増えていると言う人と、減っていると言う人とがいてまちまちだ。全体数はどうなのかわからないが、多分両方正しいのかもしれない。というのも、いわゆるネイティブ・スピーカーとしての話し手は年とともに減っているのだろうが、新たに学んで身に付けている人は増えている様子だから。学校ではアイルランド語(国語)は必須科目であり、この科目の成績が良いとスペシャルポイントが与えられ、進学や就職に有利となるようだし、テレビではアイルランド語専門チャンネルもある。(アイルランド語のホームドラマもあって、画面下に英語の字幕が流れるんだ)

ただ近い将来、アイルランド語が本当の意味で第一言語になることはないだろう。なんといっても現状の世界で英語を話すメリットは計りしれないからね。実用的にはあんまり重要ではないけど、アイルランド独立とアイデンティティの象徴であるアイルランド語が将来どこへ行くのか、興味のあるところじゃない?

おととい注文しといた前後タイヤ、もう入荷してるだろうと思ったけどまだだった。「明日なら必ず入ってる」というバイク屋のオヤジの言葉を信じてもう一日待つことにしよう。



6月30日 アイルランド Smithborough B&B

おしゃれな海沿いのB&B
3泊もしてしまった
3日も待ったのに結局タイヤ交換できんかった。
最初火曜日にバイク屋へ行った時、店員にこれこれこういうタイヤが欲しいと説明したら、「Ok。メーカーに注文しとくから、あさってにもう一度来てくれ。たぶん明日中には入るから」と言ったので、次は木曜日に言った。そしたら今度はその店員はいなくて、店の主人らしいおっさんが、「まだ来てない。明日だったら絶対はいってる」。
やれやれと今日三度足を運んだら、昨日のおっさんが、「メーカーは在庫を持ってないのでない」といいやがる。
「おっさんええ加減にしとけよそうならそうと最初に言っとけ!」と悪態をつきたかったがとっさに言葉がでてこずアウアウ言うばかりとなって腹立たしいやら情けないやら・・・

そもそも最初からイヤな予感はしてたんだな。初日の店員は、俺が予約をした時点で名前も滞在先も聞かないし、次にでてきた主人らしいおっさんは、いかにも陰険そうな顔つきで、俺がしつこく粘っていると露骨に迷惑そうな表情になった。レジにいるひしゃげたなすびみたいなおばはんもエラく事務的で、いつ行っても鼻であしらうような態度だ。なんだこの店は、 店全体の雰囲気がこの上なく悪いぞ。それともアジア人蔑視か!? くそこんな店頼まれても買ってやるか。
ただそばにいたメカニックのあんちゃんが、申し訳なさそうに「ごめん、悪いけど他をあたってくれないか?」と言ってくれたのがせめてもの救いだった。

しかたなく店を後にして、当然他でオイル交換をして、東へ向かった。こうなったら北アイルランドの首都ベルファストしかなかろう。本当はもっと北の方も回ってアイルランド一周したかったんだけど、タイヤもフロントはともかくリアはほとんど限界に来てるし、日程的にももっとスピードアップしなければ暖かいうちにヨーロッパを終われない。一気にベルファストまで駆けてやろうと走り出した矢先、雨が降り出した。

小降りだったのは最初だけで、そのうちジャケットの上からでも痛いほどの激しい雨になり、道も時おり池のような水溜まりがあったりしてずぶ寝れだ。それでも200キロちょっと走り、北アイルランドの少し手前、Smithborough郊外のB&Bで今日の宿をとることにした。ここは牛80余頭を所有する農場で、広々としている。部屋も町のB&Bよりも大きく、客も俺一人なのでのびのびだ。従業員のおっちゃんとしばらく話し、メシを作ってビールを飲んで、ベッドに寝転がってテレビを見てる間に本格的に眠ってしまったようだ。


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